Dimensionality Reduction 0

芸術の秋。ロシアのヴァシリー・カンディンスキーという抽象画家の作品が最近私のブームです。「コンポジション」というシリーズが構成が美しく、音楽を感じられるからです。前回”The Shape of Rhythm”で視覚的な動きとリズムについてチャレンジしましたが、目に見えない時間とともに消滅する音楽を、静的に見える形で表現することについて、とても興味を持っています。
物理的に言うならば、3D空間の空気振動(時間軸の動き)という4次元(時空)の世界で奏でられる音楽を2次元の平面に落とし込むということは、情報の次元縮退ともいえます。音楽情報を表すとても有効な手段として楽譜というものがありますが、これを発展させた図形楽譜というものもこれに近い存在かもしれません。2次元、3次元のグラフを書くとき直交座標系(デカルト座標系)を使いますが、デカルトが音楽の楽譜をヒントに思いついたとも言われています。
データ解析の世界では、次元縮退の逆の次元拡張により、データを別の角度から見る手法もあります。既存の変数を組み合わせて何らかの演算結果を次元として追加することですが、これは理論研究などではこういったことを知らなくても自然にやっていることなのでしょう。(例えば音楽では差分となる音程情報など)
数学的な言葉はどうしても難解に聞こえがちですが、風景を絵に描くとき、遠近法を使って立体的に表現する方法も、次元縮退と言えると思います。
図形楽譜とカンディンスキーの抽象画への興味から何か描いて見たいと思い、「とりあえずOUTPUT!」のポリシーの元、私も創作してみました。

ポイントは、リズムを感じられるかどうかですが・・(音はありません、なんでYouTube? 音楽だから・・)

アートといえば、先日会期を終えた「あいちトリエンナーレ2019」。私も2回ほど足を運びました。
あの話題でもちきりのこのイベントでしたが、私は地下で展示されていた、加藤翼氏の作品が印象に残りました。手足をお互いロープで縛られたミュージシャンがアメリカ国家を演奏するというものですが、ギタリスト、ドラマー、キーボーディストがこのロープに束縛されてなかなかうまく演奏できない様を表現しています。これは動画でしたが静止画でも十分インパクトがある作品だと思います。
これこそ、あの「表現の不自由」なのではと思いましたが、私はこういう表現の手法が好みです。(例えば「水の音を表現したください」と言われ録音した音を聴かせるような手法は、ちょっと・・)
しかし「不自由」をいう前に「自由」についてもう少し考える必要があるのではと思います。この議論は「報道の自由」が問題になるときの議論に似ていると感じました。

「私たちが普段「石ころ」だとしか感じないものを、アーティストが独自の視点で手を加えることで、まったく違った意味や価値を持たせる。それが「面白い!」とか「美しい!」とか「可愛らしい!」という感覚や感情を引き起こしたら、1500円だろうと3000円だろうと買う人がでてくるかもしれません。」(PHP新書「アートは資本主義の行方を予言する」山本豊津著より)
このイベントが話題の展示物の価値を上げたのは間違いないと思います。




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